人工中絶とは? 手術の種類と条件、用意するものなど基礎知識をご紹介
人工中絶とは
人工妊娠中絶手術とは、なんらかのやむを得ない理由によって妊娠を継続することができない場合に、人工的に妊娠を中断させる手術のことです。
人工中絶の条件等細かい部分については母体保護法で規定されており、例えば「やむを得ない理由」とは以下のように定められています。(母体保護法第14条)
一 妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの
二 暴行若しくは脅迫によって又は抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したもの
ただし、この条件を満たしていても、人工中絶には母体への負担が大きく、倫理的な課題もあることから、手術が受けられる期間は妊娠22週未満(21週と6日以下)とされています。
さらに、この期間中であっても妊娠12週以降になると中期中絶手術となり、入院も必要になります。
やむを得ず中絶を選択する場合、妊娠6~9週のうちに手術を行うと母体への負担が小さく済むため、遅くとも11週までに診察・決断するのがおすすめです。
人工中絶手術の種類
人工妊娠中絶手術は大きく初期中絶手術と中期中絶手術に分けられます。
初期では日帰り手術が可能で、体への負担も比較的少ないですが、中期になると入院が必須になります。
中絶手術は基本的に保険の対象外(※)で、入院費用の負担も大きくなりますのでご注意ください。
※中絶手術の費用
- 母胎内で胎児が死亡し、流産扱いとなる場合
- 妊娠の継続が母体に危険を及ぼすと判断され、治療として中絶手術が必要となる場合
など特例を除き、基本的には人工妊娠中絶手術は保険の対象外です。
中期中絶手術については「出産育児一時金」の対象となり、負担を軽減することができます。(経済的な理由は対象外)
また、人工妊娠中絶手術の費用は医療費控除の対象となります。
(1) 初期中絶手術(12週未満)
初期中絶手術には、掻爬法と吸引法の2種類があります。
時間が短く、子宮へのダメージも少ないのは吸引法と言われていますが、日本では掻爬法が主流となっています。
中絶手術を受ける場合は、ご希望の術式を採用しているか必ず事前に確認しましょう。
① 掻爬法
掻爬法とは、子宮内に鉗子(大型のピンセットのような器具)やキュレット(スプーンのような器具)を入れ、内容物をかき出す方法です。
日本ではこの術式を採用している病院が多いのですが、術者の技術によって、手術時間が長くなる、注意していても子宮内を傷つけてしまうことがあるなどのデメリットがあります。
② 吸引法
吸引法は、子宮内に細いチューブを差し込んで、内容物を吸い取る方法です。
電動真空吸引法(EVA)と手動真空吸引法(MVA)があり、使用するチューブとポンプに違いがあります。
吸引法はWHO(世界保健機構)や世界産婦人科連合で推奨されていますが、日本ではまだ一般的ではありません。
※EVAとMVA
電動真空吸引法:金属チューブを用い電動ポンプで吸引
手動真空吸引法:やわらかいポリプロピレンチューブを用い、手動で吸引
手動真空吸引法の方が子宮の組織を傷つけにくく、安全性が高いと言われています。
※手術の痛みと時間
掻爬法も吸引法も静脈麻酔を行うので、手術中の痛みはほとんど感じません。
ただし、掻爬法では事前に子宮口を広げる前処置を行うことが多く、この時に痛みを感じることがあります。
また、どちらの手術も日帰りでの施術が可能ですが、吸引法の方が所要時間は短いことが多いです。
※経口中絶薬
海外では、内服のみで手術を必要としない中絶薬が承認されています。
異所性妊娠や不全流産、不正出血のリスク、摘出内容物の処理など課題はあるものの、WHO(世界保健機関)ではより安全な方法として推奨しています。
しかし現状日本では認可が下りておらず、使用することはできません。
(2) 中期中絶手術(12週以降)
中期中絶手術では子宮口を開く処置をした後、子宮収縮剤を投与し、人工的に流産させる形で中絶を行います。
初期中絶手術よりも母体への負担が大きいため入院が必要で、完了まで数日かかることもあります。
また、12週以降は役所に死産届を出し、胎児の埋葬許可証を受け取らねばなりません。
中絶手術に必要なもの
中絶手術を受ける場合には、以下のものが必要です。
- 本人及び配偶者の同意書
- 身分証明書
- 未成年の場合は保護者の同意書
同意書について
母体保護法では中絶の要件に「本人および配偶者の同意」を挙げています。
ここで言う配偶者とは「届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様な事情にある者を含む」ため、未婚の場合はパートナーの同意が必要ということになります。
ただし、「配偶者が知れないとき又はその意思を表示することができないときは本人の同意だけで足りる」とされており、「パートナーがわからない」「パートナーと死別した」「パートナーと連絡が取れない」等の場合は本人のみの同意で手術を受けることができます。
また、「妊婦が配偶者からDV等を受けている場合等、婚姻関係が実質破綻しており、人工妊娠中絶について配偶者の同意を得ることが困難な場合」についても、本人の同意だけで足りると厚生労働省が回答しています。(令和3年3月)
※配偶者の同意に関する 日本医師会の疑義解釈照会文とその回答
http://www.taog.gr.jp/pdf/210316_4.pdf
たてレディースクリニックの人工中絶手術
たてレディースクリニックでは、産まない選択肢も尊重し、安心して施術を受けられるように徹底してサポートしております。
秘密厳守で、ご家族にも個人情報を知られないよう管理しますので、手術の決心をされましたらご相談ください。
手術の痛みや費用(妊娠8週6日までは10万円(消費税込み))、手術の流れなどご不安を感じていることがありましたら納得できるまでご説明します。
まずはご相談ください。お待ちしております。